作:マサ
現在進行形の「アナザーストーリー」が、
いつかこんな感じになればいいなと思って、
未夢と誠大がイチャイチャすることを目標にしております…。
ただ、こうなったら彷徨はどうするんだろうか?
とは思いますが、あくまで番外編なので、
そこは生ぬるい目で見守ってください。
と言うワケで、高校時代の修学旅行中、
ホームシック発動中に書き上げた、
とっても恥ずかしい短編集です。
いつからだろう、
あたしが誠大に想いを寄せるようになったのは。
新たな生活の場となった西遠寺で、
いきなり出会った2人の男の子。
彷徨と誠大、2人ともすぐにあたしのことを思い出して、
それまで以上に親しくなったところまでは良かった。
しかし、そこからが問題だった。
この家の暫定的な家主である彷徨はおろか、
あたしと同じ部屋で生活する誠大は、
ちょっとぐらい雰囲気出してくれても、
とか思っているのに…。
その理由は、言わずもがなだった。
彼らには、想いを寄せている人が、
すでにそれぞれいたからだ。
しかし、ある時を境にあたしの思いは、
急に誠大に傾いてしまった。
多分、それは誠大が自らの過去を、
全部告白したあたりからなのかな?
誠大が全てを出し切って倒れ込んだとき、
あたしは直感的に思ったのかもしれない。
「誠大を、守ってあげたい。」
と。
なぜ「かも」と付けたのかというと、
あの前後の出来事があまりにも突然すぎて、
あたし自身も記憶があやふやだからである。
でも、確実に彷徨よりは、「好き」って感情はある。
問題は、誠大はとてもじゃないけど、
「朴念仁すぎる」ことだった。
和音ちゃんの想いはちょっとは受け止めたみたいだけど、
あたしはあたしなりに頑張ってるのに、
どうなっても報われない。
それどころか…、
逆にあたしの様子を見た誠大に、
最近心配されるぐらいになっちゃった。
「あたしだけが、空回りしてるのかなぁ…。」
あたしはうなだれた。
そりゃそうでしょ?
仮にも多少なりとも想いは寄せているのよ?
ならば、気付いて欲しいのよ…。
「ため息ばっかりして、どうしたんだよ?」
ほら来た。
こう言うときに限って、
誠大はめちゃくちゃ優しい顔をしてやってくる。
あたしもついつい甘えてしまう。
「人に想いが伝わらないときって、
どうすりゃいいのかね…。」
誠大はちょっと怪訝な顔をしたが、
少しだけ考えて、
あくまで前向きそうな表情で言った。
「想い続ければ良いんじゃないかな?
伝わってないのなら、
より強い想いをぶつければ良い、
そう思うよ。」
哲学的な答えだけど、
その想いが向かう先を知らないから言えるのね…。
あたしはちょっと呆れた。
ちょっとは気付きなさいよ。
誠大ってば、一体どこまで白を切るの…、
ってこれじゃ誠大がホントに分かってなかったら、
白を切る切らないの問題じゃないし…。
あ〜もう!考えたら考えるだけ分かんないよ!
「良いや、お風呂入ってくる。」
「ごゆっくり。」
お風呂で一人になってから考える。
結局、今日もすれ違い。
気付かせる、って言うのはダメなのかな…。
やっぱり、ちゃんと言わないと…。
「でも、これからどうすれば良いんだろ…。」
湯船に顔をつけて、あぶくを上げながら考える。
しかし、明確な回答なんて出るはずも無く。
あぁ…、ダメダメ!考えてたら余計に頭混乱する!
あたしの思いは、ひたすらに渦巻くばかりだった…。