作:久保真理
今日は大晦日
だから今日は大掃除
ことしは未夢が押入れの中も整理しようと言い出した。
俺が生きてきた中で、そこまでやったことなんてなかった。
今までで一番大変な大掃除になるな
そう思って心の中で苦笑した。
そんな俺と未夢は正反対で
ヤル気満々で、掃除を始めた。
「あ、彷徨彷徨〜!!」
「ん?」
ここは親父の部屋で、
未夢は押入れの奥まで頭を突っ込んだ状態だ。
親父はわざとなのかと思うくらい
いっつも大晦日には修行だって海外に行く。
「アルバム見つけた!」
「は?」
「見るよ〜」
そう言ってもぞもぞと押入れから出てきた。
「ぷはっ」
押入れから頭を出して、ぺたんと座って
すごくわくわくした翠の瞳でアルバムの表紙をみてる。
その表情がすごくかわいいと思ってしまう。
かおが緩んでしまいそうだ。
「あれ?」
ホコリを払った未夢は眉をひそめた。
「どうした?」
そう言って俺は未夢に顔を近づけて表紙を覗き見した。
頬がすごく近い。ピクンと肩が揺れた
『未夢と彷徨のアルバム』
「へぇ。こんなものあったんだ」
そう言ってさりげなく未夢の肩に手を回した。
ピクンとまた肩が揺れる。
お前、どんだけ俺と一緒にいるんだよ。
そんなところもかわいいとおもう、俺は重症なのかもしれない。
でも、未夢だからそれでもいいと思う俺がいる。
「み、みるよ?」
未夢は耳まで真っ赤であたふたとしてる。
ペラと、一ページめくった。
「わぁ」
そこには
俺と、未夢と未夢の母・未来と俺の母さん・瞳が寺の入り口で写真取っていた。
俺と未夢の顔は緊張してカチンコチンだった。
ぷっと思わず2人して笑った。
肩を組む形だと、俺が見にくい。
俺は見やすくするために未夢の後ろに回って、
後ろから未夢を抱きしめて肩にちょんとあごを乗せた。
ピクンとまた未夢が肩を揺らす。
「ほら、次ぎ見ようぜ」
俺は急かしてもう少しだけ強く抱きしめた。
「ううう、うん。」
ペラ、ペラと。
一ページ一ページゆっくりめくっていく
ウチの居間で皆でゲームしていたり、
一緒にご飯を食べていたり。
写真の中の俺たちの表情は少しずつ自然な笑顔になっていった。
自然な笑顔になると、2ショットが多くなってる。
一緒に砂場で山作ってトンネル掘ってたり。
並んでピースしたり
一緒に浴衣着てうれしそうにヨーヨーと金魚を持っている
腕組んでるのまであるよ。。。
さずがに俺もすこし恥ずかしい。
ペラと最後のページを開くと、
そこには、
別れを惜しむ俺と未夢がいた。
未夢はものすごく泣いている。
母親に抱かれ、無理やり引き剥がすように未夢は階段を下りていってた。
服は夏物だし、スイカとか食べてたし。
浴衣も着てた写真もあったし
多分夏休みに来たんだろう。
すると
自分が泣いているのが恥ずかしかったんだろう。
最後のページはすぐに閉じられた。
「俺たち、こんなに一緒にいたんだな」
「ね。小さかったから全然覚えてない。」
「あんなに泣いてるのもすごいよなー」
「なっ////」
少し意地悪をしたら、未夢は真っ赤になった。
お詫びに頭をなでてやった。
「これから、さ」
「ん?」
未夢が顔を真っ赤にしながら口を開く
「これから、また写真撮ってこうよ。いっぱい」
すこし恥ずかしそうに
未夢は彷徨に言った。
「そうだなぁ。ルゥ達用のアルバムもちゃんとしたの作るか。」
「うん!」
そう言って未夢は俺に向かってとびきり最上級の笑顔をくれた。
頬が緩む。
情けない顔をしていないか少し心配だけど
未夢はそんなことは気にしないでくれるからうれしい。
未夢の前では何故か素でいられるから。
だから愛おしいと思うのかもしれない。
「俺たちも結婚するし、区切りとしてもちょうど良いかもな」
やさしく笑って俺のほうに向き直った未夢を抱きしめた。
「うん」
そしたら未夢も抱きしめ返してくれて
それだけなのに
いいようのない幸せな気持ちが胸にあふれる。
俺は、自然と未夢の後頭部をくっと引き寄せた。
未夢は逆らうこともなく、
俺たちは唇を重ねた。
END
結婚の少し前って設定です。
昔の写真を発見!て自分でテーマを考えて少しずつ作っていこうかと思って始めたら、
ダメですね。どんどん書いてしまいました。
テストも終わっていないのに・・・
現実逃避。ですね(涙
また少し何か書きたいです。
読んでくださってありがとうございました。
とてもうれしいです。
これからもがんばっていきます!!(6/3)