【初夢】6つのお題

T(お題1.2)

作:あかり

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1 新年早々こんな夢見るなんて・・・!



「彷徨くーん。私と一緒にグルメ漫遊にいきましょう。」
ひどくヒラヒラしたマントをきて、演劇のような衣装をつけている。首元が窮屈で苦しい。そして隣には、お嬢様然とした花小町。いや、たしかにいいところのお嬢様なんだけど。
「彷徨、焼き芋食べに行こうよ。ワンニャーが準備してくれてるんだよ。」
「パンパ。」
花小町の反対には未夢がいて、普段よく着ているお気に入りの赤いワンピース姿。腕にはルゥもいる。こっちは、秋からのうちのおやつの定番になった焼き芋をすすめている。俺の姿も家でよく着る普段着になっている。・・・どうなってるんだ?
「彷徨君と未夢ちゃん、ふたりっきりで焼き芋ホームパーティー!!「彷徨、熱々よ。ほら、あーん。」「お、うまいな。未夢が作ってくれたのか。これなら、ご飯100杯食べれるよ。」こうして二人は手に手をとって丸太のお家へ。とっても、仲良しさーん。」
近づいてくるのは、ピンクのドレスを身にまとった花小町。ルゥはにぎやかさに喜んで、超能力で浮かんで喜んでる。未夢はなぜか、ねじり鉢巻をつけて石焼芋や三の屋台を引いている。もちろんというか、屋台の中にある焼き芋はどれもこれも真っ黒だ。周りには、三太や小西、天地もいる。みんなの格好も十二単をきていたり、ルーナ姫のドレスをきていたり、三太に至ってはギリシャ神話に出てくるようなかっこうで、もう何がなんだか分からない。いっせいにぐるぐると周りで回って踊りだしたものだからたまらない。
「やめろー!」そう声に出したところで目が覚めた。時刻は午前4時。あたりは真っ暗。目の前のカレンダーは今日が1月2日だと告げている。
今年もやたらとにぎやかな1年になりそうだなと思って、ちょっと頭痛がしてきた。









2 富士や鷹なんてモンじゃない



「おかえりなさい、彷徨。」
玄関のドアを開けると同時にかけられる声。ふわりとした柔らかな笑顔のその人は、良く知る人で、多分仲も悪くない相手。そして、去年の今頃は、毎日のように聞いていたその声はひどく優しくて、心地よい。
「ただいま。」
反射のように返した言葉。そして、かってに緩んでしまう頬。手を伸ばせば届きそうな距離に未夢がいる。
分かっている。これは夢。
去年1年間を一緒に暮らしていた家族の一人。違う、家族と言い聞かせていた想い人。気持ちを告げなかった後悔は、現在進行形で深くなっている。離れて暮らすようになってから、会うことが叶ったのは片手で数えるほど。それでも、会うたび、会えない日々が増えるたびに、降り積もるように増えていくのは相手を想う気持ち。多分、だからこんな夢を見るんだ・・・。
触れたら、霧散してしまうと分かっているのに、それでも、触れたいと思ってしまう自分はもう手遅れになるくらい余裕がない。目が覚めてしまう、そうどこかで思いながら、ゆっくりと手を伸ばした。
「ねぼけてるの?」
クスクスと耳をくすぐるような笑い声は良く知っている。伸ばした手のひらは、お手よろしく彼女が伸ばした手のひらに乗っている。夢なのか、現実なのか、幻なのか、もうよく分からない。混乱する頭と、でも確かなぬくもりを知らせている自分の右手。
「初夢は好い夢みれた?」
無邪気に聞いてくる未夢に、「今見てる」って言ってしまいそうになった。








お題に挑戦させていただきました。
【初夢】6つのお題

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