マスコットと青いリボン

作:中井真里







「ふわぁ」



今日は宮廷にて、ゼーナの資料整理を手伝っている。
午後は日記を届けにあの森へ向かう。



「ノリコ、どうしたんだ?」
「う・・・ううん。何でもないの。何でも」




最近、ノリコの様子がおかしい。
あくびはしょっちゅうだし、手に怪我をしていたり。
話をしても、上の空だったり。
仕事中も居眠りをしていたり。




何度も聞こうとしたが、どうもタイミングを外してしまう。
皆に聞いても、ニコニコと笑顔を返されるばかり。




「もしかして、自分に関係あることなのだろうか?」
そう思うと人知れず不安になる。




「ノリコ・・・お前はいったい?」







朝。全く眠ることが出来なかった。
頭の中で、不安がぐるぐると渦を巻いている。




そして・・・。




「ねえ、イザーク。これ。あんまり上手くできなかったんだけど
一生懸命つくったんだ。今日、誕生日でしょう?」
ノリコは後ろに何かを隠しながら、ゆっくりと近づいてくる。
その仕草が可愛くて、思わずふふっと笑う。




「もう、イザークったらホントに笑い上戸なんだから」




そんなことをぶつぶつ呟きながら
ノリコが取り出したのは中くらいの可愛らしい包み紙。
青いリボンがあしらわれている。




誕生日なんて、いつの間にか忘れていた。
いや、忘れようとしていたのかもしれない。
なのに、こんなに気持ちが安らぐ。
心から喜ぶことが出来る。




「早く開けてみて」
「あ、あぁ」




中から出てきたのは、青いバンダナ、黒く、長い髪。
少し鋭い目つきはしているけど、愛らしいマスコット人形




「これって・・・俺?」




「えへへ、似てるでしょ?徹夜で頑張ったんだから」
ノリコは照れくさそうに頭を掻きながら下を出す。




(そうか、そうだったのか)




「疑ってすまん」

そう小さく呟きながら、ノリコの唇に軽く触れた。




嬉しくて、幸せで・・・。




イザークはこんな日が迎えられたことを、
ノリコに心から感謝した。




「にしても・・・・俺ってこんな眼をしていたのか?」
「うん、そっくりでしょ。みんなも頷いてたし」




ちょっとショックかつ複雑な気持ちのイザークであった。






THE END






□■□






「彼方から」より、ノリコ×イザーク。
こちらも以前に書き散らした代物です。
考えればこんなに溜まってたんですね。





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