木漏れ日の中で

作:中井真里






「今日もいい天気。にしてもイザークったら///」




ノリコは緑の草が生い茂る野原に寝転がりながら
昨日のことを思い出していた。




いつものように家族の元へ書き溜めた日記を送った帰り道
ノリコとイザークは森の小道を並んで歩いていた。
強い風によって、緑の葉がロンドを創り出していた。




ノリコはそれを見つめながら、残してきた家族に想いを馳せる。
いつまでもイザークと一緒にいる。そう決めた。
だけど・・・胸の痛みは消えない。




定期的に送る日記にはそんな家族へのさまざまな想いが秘められている。
いつか、イザークを連れて里帰り出来たらな。




(な・・・あたしったら何考えてるのかしら・・・)
突然、自分の考えに気付き、口元を押さえる。
見る見る顔が赤くなっていくのが分かる。




−コツン




突然、堅いモノがノリコの額にぶつかる。
思わず目をつむるが
目を開けるとイザークの顔が真っ正面に見えた。




「顔が赤いぞ。熱でもあるのか?
それとも何か考え事してたな?」

イザークはそう言ってニッコリ笑った。




( ///な・・・)




突然の行動に胸がドキドキしている。
”彼”はこうして時々自分で遊ぶ。
そして、反応を見て楽しんでいるのだ。




「な・・・なんでもないわよっ」
「ふ〜ん、そうか」




しばしの沈黙。イザークはノリコの肩を
さり気なく自分の胸に寄せた。
そして、ふっと呟く。




「俺も同じこと考えてた」




「え?ほ・・ほんと」
ノリコの顔がぱぁっと明るくなる。思わず胸が弾む。
が、横ではイザークが今にも笑い出しそうな表情をしていた。




「あ〜また私の反応見て楽しんでる」
「引っかかるお前が悪い」
ノリコはぷぅっと膨れて横を向く。
その表情があまりに可愛くて、
イザークは思わず顔を綻ばせた。




「いつか、お前の暮らしていた世界が見てみたいな」
「うん。私もイザークに見せたい」
そう言って笑う。
「家族も・・・・だろ?」
「えっとそれは・・・って、また〜」




「 ///もう、イザークったら。こういうときに限って心を読むんだから」
「すまん、すまん」
そしてお互いが照れくさそうに微笑む。




木漏れ日の中に続いていくふたりの時間
いつまでも続いていくといいな。




そして、いつかは・・・






そう願う。






THE END






□■□







「彼方から」より、ノリコ×イザーク。
これも昔に書き散らしたものですが、
今とちっとも文章の癖が変わっていないのは
驚くというか、呆れるというか・・・。




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