作:朴 ひとみ
絶望と希望の意味さえ分からずに
ただ音楽にのって踊る私はオルゴールのお人形。
「ただいまぁ・・・」
未夢は家に帰るなり、すぐにそう言うと倒れこんだ。
今日はルゥ君とワンニャーがいないのだ。
オマケに、彷徨は委員会。
だから今日は未夢が料理当番。
ついさっきまで、スーパーで買った食材を汗水たらしながら家まで歩いてきたところである。
こんなことしてられない、と思った。
早く作らなきゃ彷徨にどやされる。
未夢はエプロンをして台所に立った。
今日の晩御飯はカレー。
「それに・・・これも加えてっと。」
未夢が入れたのは、カボチャ。
彷徨の大好物。
「ずいぶん前に聞いた話だけど・・・まだちゃんと覚えてるもんね♪」
未夢はニコニコしながらカレーを作っていく。
その時、ふと手が止まった。
(彷徨は・・・私のこと、ちゃんと女として見ているのかな・・・)
胸に積もり積もっていく気持ち。
もう、無いことにはできなくて。
もう、いっそのこと好きと言って逃げた方がよっぽど楽かしれない。
(って、逃げるってどこに!!ってかまだ私中学生!!!)
未夢はついつい一人ツッコミをしてしまう。
「彷徨って、意外と鈍感だもんなぁ・・・」
視線の先には、机に置いてあるオルゴール。
最近はいつも彷徨の前で聞いているのだ。
---曲名は、『君に愛を捧げる』
(アプローチ・・・出来てないなぁ・・・)
未夢は肩を落としながらも、また作業を続けていく。
作り終わったとき、彷徨が帰ってきた。
「お帰りー!」
「おう・・・腹減った・・・」
彷徨は着替えずに机へと向かった。
「今日はカレーだよ♪」
未夢が配膳をしながら彷徨に言う。
「・・・食えるのか?」
彷徨は怒る未夢を無視して、カレーを一口食べた。
「どーお?」
「・・・・・・・・・」
彷徨は黙ったままである。
「え・・・美味しくなかった・・・?」
「・・・入ってる。」
「え?」
未夢が聞き返す。
「カボチャが・・・入ってる。」
「ああ、だって彷徨カボチャ好きでしょ?」
違うの?と未夢が首をかしげる。
「覚えていたのか・・・あんなに記憶力のない未夢が・・・」
「・・・なんか今最後に聞き捨てならない言葉を聞いたような気がしたんだけど?」
未夢はため息をつき、もうすでに食べ終わっていた自分の食器をさげる。
「・・・早食い。」
「うるさい!!」
未夢は再び戻ってくると、オルゴールを出してくる。
ネジを巻き、音を出す。
すると、綺麗なメロディーを奏で始める。
静かな時。
全てが、無へと帰り絶望と希望という反するようで似ているものが回る回り始める。
似合ってないのも分かってる。
こんな地味なアプローチ、普通は分からない。
それでもそれにすがってしまうのは
ただただ、希望を夢見ているから。
「-----なぁ。」
「え?何?」
彷徨がオルゴールを指差す。
「あ、うるさかった?」
「いや・・・」
彷徨は食べ終わった食器をさげた後、ポツリと言った。
「・・・君に愛を捧げる・・・」
「・・・・・・は!?///」
「はって・・・その曲の名前だろ?」
知らなかったのか?と彷徨は未夢に聞く。
そんなことはないけど、と未夢。
「知ってたんだ・・・」
彷徨が一瞬、哀しそうな顔をして言った。
「昔・・・母さんが歌っててさ。」
「あっ・・・」
気まずくなる。
彷徨は顔を下げている未夢に向かって、デコピンをした。
「おりゃ。」
「ッッ・・・!!何するのよ!!」
未夢がおでこを擦りながら言う。
すると、彷徨は微笑みながら、
「お前にそんな顔、似合わねぇよ。」
と。
そして彷徨は自分の部屋へと行ってしまった。
「・・・分からないなぁ・・・」
未夢はこてっと寝っ転がる。
この気持ちがなんなのかを知りながらも
必死にそれを隠して。
(分かってほしいのか、欲しくないのか・・・)
オルゴールと共に君の心へ伝えようとしても
それは簡単に君によって砕かれてしまい。
(それでも)
君を愛する快楽に漂ってさ迷う。
全ては誰のせい?
(こんな距離も・・・結構幸せ、かも。けど・・・)
妥協してしまうほど弱い心ではないことを祈って
今ある幸せよりも前へ進もうとする。
先にあるのは絶望か、希望か。
絶望と希望の意味が分かったときに伴う痛みと快楽を私はこの後重く痛感する。
こんにちわ、朴ひとみです。
また、意味の分からないものを書いて・・・
詩なのか小説なのかっていう区別がつきませんね!
これでも、私にとっては甘いです・・・