氷帝クリスマス

作:朴 ひとみ


*忍足、貧乏設定です。


朝。

「ほな、行ってきま〜す。」
忍足がジャージに新聞を持って新聞社を出た。

(なんでこんな12月に雪が降るんやろ・・・)
かじかむ手をかばいながら、忍足は次々と新聞を各家へ配っていく。

(ストーブってなんやっけ・・・ああ、はよぉ学校行って温まりたいなぁ・・・)

そんなことを言う中学生もアレだが、忍足は本気で思っているのである。
大阪なら、配達している時はおばちゃん達が何か話しかけてくれたり、さしいれと言ってオニギリなどくれたりしてくれてたが、ここは東京。
精々、老人に「頑張れよ」と言われる程度である。


やっと配り終わったのは、学校へ行かなくてはいけない時間の15分前。
(朝練かぁ・・・こんな寒い時期に)
忍足は朝練を決める跡部達を恨みながら、家へ入ろうとした。


その時。


「あれ・・・?」

ドアの前に、手紙が落ちていた。
差出人は、滋郎だった。
(なんやろ・・・)
手紙の中を見ると、滋郎の字で、『今日、お台場いかない?』と書かれてあった。
「なんで手紙で・・・」
まぁ、気まぐれな滋郎ならおかしくないと思い、忍足は家へ入った。








「忍足ーー!!」
学校に来た瞬間、滋郎が抱きついていた。
「ジ、ジロ・・・」
忍足は勢いでついつい、転んでしまった。
「なぁなぁ、手紙読んだ?」
馬乗りになったまま、滋郎は話しかけてくる。
「読んだでぇ・・・ってまず、俺から降りぃ!!」

忍足に一喝され、滋郎はズルズルと降りる。
「で?一緒に行ってくれる?」
「待って・・・って、なんで俺なん?跡部とか・・・」
「跡部は樺地と用事があんだって!岳人も日吉と何かあるらしいし・・・」



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