作:朴 ひとみ
「・・・こんな城、抜けだしてやるっ!」
ミユがいきなり決意表明のは、とある午後のことだった。
火の国、水の国。
火の精、水の精。
昔は一緒だったが、王にする人を誰にするかモメて、とうとう決別してしまった。
その間には、戦争もあった。
沢山の人々が血を流し、消えていった。
二つの国は、冷戦状態となっていった・・・
そして、この「ミユ」という少女は水の国の姫である。
「私の部屋には窓がないから・・・上の階からそーっと・・・」
今、いつ戦争が始まってもおかしくない状況なので、姫などの部屋の窓は作らないようにしてある。
ミユが上へ行く。
すると、そこには召使いが。
「お・・・おはよう、綾?」
「姫様・・・抜け出そうとしていましたね?」
綾がミユに顔を近づけながら言う。
「駄目ですよ!仮にもお姫様なんですから、外に出ると・・・!!」
「分かってるよ・・・。」
ミユがニヤリと笑ったのを、綾は見逃してしまった。
「あ!あそこにステキな劇の台本が!!」
綾はすっ飛んでいってしまった・・・・
「ちょろいちょろい♪」
ミユは窓にロープをたらすと、そのまま下に下りようとする。
しかし、ずっと城の中にいたミユの運動神経は良い訳がなく。
半分降りたところでバランスを崩し、落ちていってしまった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!」
静寂。
痛みは・・・ない?
「あ・・れ・・・?」
目を開けると、いつもよりちょっと目線が高い。
「あれ?あれ?どうなったのか・・・な?」
そのとき、どこからか声が。
「えっ!?えっ!?」
よく聞いてみると、下から。
「お〜い゛・・・どいてくれ・・・」
「あっ!!ごめんなさい!!」
見ると、ミユが少年の上に座っていた。
ミユがサッとどく。
すると、その少年はうめき声を出しながら立ち上がった。
「だ・・・大丈夫・・・?」
ミユが心配そうな声を出す。
少年は舌を出しながら言った。
「あんたが落ちてこなければなっ!!」
ミユはうな垂れた。
「ごめんなさい・・・」
「・・・別にいーよ。いちごパンツ。」
それを聞いた瞬間、ミユが少年を殴った。
「馬鹿馬鹿馬鹿!!見たの!!?」
「見ようとして見たわけじゃねーよ!」
少年は地に座った。
「ったく・・・。あんた・・・貴族か?」
少年はミユの身なりを見ながら言った。
「あ・・・えーと・・・」