作:朴 ひとみ
永遠に君を、忘れない。
---花小町病院・脳外科---
「・・・大丈夫ですか?」
「はい。」
ベット近くにいたナースは、患者が大丈夫だと分かると部屋を出て行った。
患者は静かに横になった。
コンコン。
「あっ・・・ハイッ!」
患者は勢いよく返事をする。
ドアが、開いた。
「か・・・なた。」
「未夢・・・」
白衣を着て、カルテを持っていた。
「大丈夫か?」
「その質問、さっきの看護婦さんにもされたよ・・・。
うん、大丈夫。」
「そうか・・・」
未夢がこの病院に入院したのは3ヶ月前。
とある事件にあい、ビルの3階から落とされた。
下が芝生だったせいか、傷もあまりなかった。
----そう、脳を除いては。
なにかの拍子に記憶を司る部分がゆっくり、ゆっくり消滅するようになった。
全て消滅するのは、大体3ヶ月後。
それが、今日だった。
今まで、友達のことも、両親のこともすべて忘れた。
最後に残ったのは、彷徨の記憶。
「・・・・私が全てを忘れても、彷徨は忘れないでね。」
未夢が悲しそうな顔で微笑んだ。
「・・・なに言ってんだよ。」
彷徨は未夢を抱きしめた。
「ひゃあぁっ!!彷徨!///」
未夢が慌てていると、彷徨はもっときつく抱きしめた。
耳元で彷徨が呟いた。
「俺は絶対に・・・お前を忘れない。
お前も・・・忘れるな。」
涙が出そうになった。
泣かない、と誓ったのに。
彷徨の腕をほどいて、未夢は言った。
「絶対に・・・忘れないよ。忘れたくない・・・・!!」
未夢が顔を掌で覆うと、彷徨はその手を持って未夢のふとともに置いた。
彷徨の顔が未夢の顔に近づいた。
「彷徨・・・?」
夕暮れが 二人を包んだ。
「・・・彷徨」
「・・・・・・・・」
未夢はクスッと笑った。
「困るよぉ・・・。そんなにっ・・・・優しくされちゃっ・・・・!!」
彷徨が未夢の頭をポンポンと叩いた。
「大丈夫だよ。また、お前を好きになるから。」
「本当・・・?」
「・・・・お前もだろ?」
未夢は「そうだね。」と言い、窓の外の夕暮れを見た。
ベッドに横になった。
「・・・そろそろかな。」
「・・・・ああ・・・」
未夢は夕暮れをバックに微笑んだ。
「ありがとう・・・忘れないでよ。」
最後に、彷徨に私の笑顔を見させられて良かったっ・・・!
未夢は瞼を閉じた。
彷徨はベッドの近くにあった椅子に座った。
あとちょっとしたら、未夢は目を覚ますだろう。
その時、俺のことをなんて言うだろう?
やだ。
聞きたくない。
もう一回、あの声で「彷徨」と言ってほしい・・・・!!
その時
俺は
運命を恨んだ
未夢は目を覚ました。
「んっ・・・・」
「大丈夫か・・・?」
脈を計ろうとしたその時。
「か・・・・な・・・・・た・・・・・・?」
今
なんて言った?
「彷徨っ・・・!!」
「未夢・・・・!?」
「私っ・・・・覚えてるよぉっ・・・・!!」
涙が出た。
「彷徨っっっっ!!」
「未夢・・・・・!!」
二人は抱き合った。
そして、もう一度キスを。
「なんで・・・・?」
「そうだな・・・・検査しなくちゃな・・・・・でも。」
「うん。今はこのまま・・・」
検査結果。
未夢の記憶部分は確かに消滅していた。
しかし。
消滅していた記憶が脳のまた違う部分に保管されていたのだ。
この調子によると、時間はかかるが全ての記憶を思い出せるらしい。
全ては 運命の悪戯か。
それか 天使が幸福を運んできたのか。
しかし、未夢と彷徨にとってはどっちでもいい。
また、一緒に同じ時間をすごせるのだから---
幸運な二人に 祝福を
なに連載ほっぽいてこれ書いてんだか・・・とか言われそうですが(汗)
未夢&彷徨のパラレル小説です^^
しかし、なんとまぁ間が多いんだか・・・・
まぁ、間空けるの好きなんですけどね。
これ、最初は彷徨が記憶失くす予定でした。
んで、記憶は戻らず・・・みたいな(笑)
結局未夢にしてハッピーエンドにしましたけどね^^
あと、お知らせなのですが、5月24〜6月の4日ぐらいまで更新は難しくなるかもしれません
(汗)
仕事のほうが立て込んでいて・・・。
あ、でもやれる日はやるんで!
これからもよろしくお願いします^^