サイレント・ナイト

作:煉夏沙良



12月24日。
平尾町の富豪、花小町家ではパーティーが施されていた。








「「「「ハッピー・バースディ!彷徨(くん)」」」」




しかし、クリスマスではなく西遠寺彷徨の誕生日パーティーとなっていた。
ココには、3年1組のメンバーが集まっていた。
クラスで人気者の彷徨の誕生日パーティーと言ったら
来ないヤツはいないであろう。
午後の10時だというのにどんちゃん騒ぎ。
主人公はまるで乗り気ではない。
退屈で周りを見渡してみると金髪の彼女の姿がない。





「なぁ、三太?あいつは・・・、未夢・・・」
「あぁ、光月さんなら帰ったよ。何か用事あるって」


未夢が用事?
何も用事が無いから来たはずなのに。
どうして、急に帰ったのだろうか。


「オレ、帰るわ・・・」


そういって立ち上がろうとした彷徨を周りがとめた。


「ダメだよ、主人公が帰ったら」
「そうよ、西遠寺くんが帰ったらダメよ!」


圧倒されたのだろうか。
それとも彷徨が諦めたのだろうか。
結局、12時まで残ってしまった。









「ただいま・・・」


未夢の家は真っ暗だ。
彼女は寝てしまったのだろうか。
疲れ果ててしまった彷徨は自分の部屋に戻ろうとした。
しかしよく見ると見逃していたところがあった。
1箇所、彷徨の母親の部屋だけ、明かりがついていた。
そして其処には彼女の姿があった。


「未夢・・・?」
「彷徨・・・、お帰り」


未夢の手には何かがあった。


「今日は静かでいたいなって思って、先に帰っちゃった」


えへへ・・・はにかむようにと笑う未夢を見て彷徨は小さく笑ってしまった。
未夢の顔を覗き込んで声をかけた。


「未夢・・・それ、何だ?」
「あ、プレゼント・・・ハッピー・バースディ、彷徨・・・」



箱を開けると南瓜ケーキ。
自分の隠れ好物。
未夢しか知らない己の好物。
貰ったものの中で1番心のこもってるプレゼント。



「ありがとな、未夢・・・」


お礼の意味を込めて未夢を優しく抱きしめてキスした。


「うん・・・生まれてきてくれて、ありがと」









Happy Birthday!&Merry Christmas......










昨年のクリスマスに書いた小説です。
再UPさせていただきます。


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