作:ゆな
未夢に一目ぼれした、南戸海。
早速未夢を呼び出して、彷徨と賭けをする事になり・・・?
賭け
「なぁ、ココに光月未夢っていう子いるか?」
「はい・・・、私ですけど?」
「放課後、屋上に来てくれないか?」
これが未夢と彷徨を悩ませる種となるのだ・・・。
放課後、未夢は言われたとおり屋上に行った。
でも未夢の要望で、彷徨も一緒に行く事にした。
「み、南戸くん?」
「あ、光月さん。来てくれたんだ」
南戸海。
彷徨には劣るけれど、美少年の部類に入る2年4組の生徒。
未夢は名前だけは知っていた。
「で、来てくれたのは嬉しいんだけど、なんで西遠寺がいる?」
海は1人で屋上に来て欲しかったようだ。
今の海にとって彷徨は邪魔者だった。
「まぁ、いい。西遠寺と光月は恋人同士なんだろ?」
「え、あぁそうだけど」
海は一息ついて爆弾発言をした。
「光月、西遠寺なんかやめてオレと付き合わないか・・・?」
「「はぁ????」」
2人は素っ頓狂な声を同時に上げてしまった。
でも・・・
「無理だね。オレは未夢のことが好きだし、未夢もオレの事が好きなはずだ」
とだけ言った。
しかし海はそう簡単に引き下がらなかった。
「だって、女子にいちゃいちゃされて光月淋しそうな顔してる時があるじゃないか」
「あ・・・」
確かにそうだった。
けれども彷徨が告白した時、未夢が条件として
「私も好き。好きだけど・・・、周りの女のコたちには今まで通りに接してくれる?」
ということを出したのであった。
「未夢の要望でもあるんだ。それは守ってやりたい。そう思ったんだ」
「でも、なんで光月は淋しそうな顔してるんだ?」
「それは・・・」
未夢は言葉に詰まる。
そういう顔をたまにしてしまうことはある。
でも、そうとられていたなんて予想外だった。
どういっても引き下がりそうにないので未夢と彷徨は相談した。
その内容は・・・
海と未夢が1週間付き合うという事。
丁度いいことに明日から10日間は休み。
という訳で、未夢と海の1週間が始める事になったのだ・・・。
さて、いよいよ海と未夢の1週間が始まった。
と、実況の前にルールを・・・
1.最終的に決めるのは未夢。
2.未夢が「もういい」と言ったらそこで終了。
3.彷徨はその間、未夢とはただの同居人として過ごす事。
1日目は、2人でのんびり平尾町を回った。
2日目・3日目は海の家で勉強。
そして4日目。海と未夢は遊園地に行く事にした。
今日オープンしたばかりの『Space Land』。
・・・彷徨と一緒に行きたかったなぁ。なのに、なんで好きでもない人と一緒に行くはめになっちゃうの?
未夢がそんなことを考えているとは知らず、海はウキウキ気分だった。
(憧れの光月さんとデートか・・・。ここでいいトコ見せないと西遠寺に負ける・・・)
「未夢ちゃん、最初はジェットコースターに乗ろうか?」
「えっ・・・、ちょっとコースターは・・・「さぁ!レッツゴー!」」
未夢はコースター系があまり得意ではない。
が、気合が空回り(?)した海には全く気づかなかった。
(んもう!私コースター嫌いなのに・・・。彷徨だったら、ちゃんとわかってくれるのになぁ)
まぁ、予想通り気分が悪くなった未夢。
しかもバットタイミングなことに、海のファンクラブらしき人に遭遇してしまった。
「あらぁ、海くんじゃない!」
「ねぇ、海くん今1人?だったら、一緒に回ろうよ!」
彷徨だったら、やんわりと断るだろう。
が、海は・・・
「オレ、光月と回ってるんだ。な、光月」
「え、あ・・・」
肯定できなかった。
ファンクラブの視線がグサグサ刺さっているし、このデートは半分無理やりだ。
「と、いうことで。じゃあ、行くぞ。光月」
「分かった・・・」
もう、イヤ!
でも、遊園地で言うのもなんか悪い気がしたので遊園地から抜けるように頼んだ。
断られるかと思ったけど、意外とすんなり受け入れてくれた。
「たくさん人いるからな。じゃあ、最終日にでもまた来よう」
最終日は今日なんだけどね。
未夢はそれを言う為に海に話しかけた。
「ねぇ、南戸くん。かな・・・じゃなくて、西遠寺くん呼んでいい?大事な話があるから」
「うん、いいよ?」
未夢は海に断るつもりなのに、海は
(今日でもう決まるんだ!光月、オレに惚れたのかぁ)
と勝手に妄想していた。
場所は変わって、公園の広場。
夕方だったので、もう人はいない。
未夢・彷徨・海はそこにいた。
「さてと。未夢、最終的にはオマエが決めるんだ。未夢が好きな方を選んでいい。たとえ南戸になったとしても、文句は言わないから」
彷徨の言葉に少々むすっとなりながらも未夢は結果を言った。
「ごめん・・・・・・・・・・・南戸くん。やっぱり私には合わないわ」
勝者は彷徨。
しかし、納得のいかない海。訳を訊いた。
「なんで?光月さん?オレはファンクラブじゃなくて、光月を優先したし、光月の言う事だって聞いたじゃないか!なのに・・・」
「・・・あなたは分かってない。それに、1度だけ南戸くんの意志で行動したところがあったの」
「あっ・・・」
「あのジェットコースターの時よ。私、コースター系は苦手なの。なのに、南戸くんは私の反論も聞かないでさっさと行ってしまった」
そして・・・
「あと、ファンクラブの時。私が鋭い目で睨まれてたの、気づかなかった?」
「・・・・っ」
未夢が長く訳を話した。
そして訪れたのは沈黙。
再び未夢は口を開いた。
「私が彷徨にお願いしたのは、自己防衛のためって思われるかもしれない。淋しい顔してるって言われてる。でもね、私本当は嬉しいんだ。彷徨が人気者なの。私には取り柄がなくて、唯一自慢できるのが、私の彼氏は人気者。それだけ。それに、一緒に住んでるから家での彷徨は私が独り占めできるもん」
海は黙ってその会話を聞いた後、静かに口を開いた。
「スマン。なんにも考えてあげられなかったな、光月のこと。そして、西遠寺。光月のことちゃんと考えてあげられるんだな。本当に悪かった」
謝った。
何度言ってもしつこい海が、珍しく謝った。
そして去っていった。
残されたのは、未夢と彷徨、これからの平和な日々。
「南戸、アイツってどんなヤツだったんだよ実際」
彷徨が訊いた。
それに対して未夢は、
「え、言った通りよ。自分勝手な人ね」
と、答えた。
「珍しいな。未夢がそういうこと言うなんて」
「だって、私には彷徨しかいないもん」
そうして、西遠寺に2人仲良く戻っていき甘甘な日を過ごしたそうな。
-END-
私のサイトでは「Rival has come!?」という題名でUPしたものを
同好会&同盟版にしてみました。
未夢に、「あなたは分かってない」と、「彷徨が人気者で嬉しい」という事を言わせたかっただけのものですが・・・。
珍しく2日連続?2話連続?でUPしたゆなでした。