ある日のショートショート。

その1

作:山稜



「はらえよ、なっ」
「なにを?」
「家賃」
「へ?」
「だいぶ長いこと住んでんじゃねーか」

「ちょ…ちょっと待ってよ、なんでわたしが彷徨に家賃はらわなきゃならないわけっ?宝晶おじさんになら、まだわかるけどっ」
「家に、じゃ、ないからな」
「?」
「おれの心に、だよっ」

 そういうと彷徨は、しっかり家賃をうばっていった。
 反論できないようにして。



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