作:山稜
2005年冬企画参加作品です
カラダ、おもい。
キブン、わるい。
日差しがようやくもどった日の、ゆうがた。
洗濯物をとりこみ終えて、未夢はひといき、ふぅっとふいた。
そのまま、すわりこむ。
玄関の、ひらく音。
彷徨…だろう。
いつもなら、出迎えもする。
けど、そんな、余裕がない。
きもち速めの足音が、ろうかを鳴らしてやってくる。
「…ただいま」
「おかえり」
「だいじょうぶか?」
「へ?」
「だって、おま…っ」
なにか言いたげな彷徨。
さえぎった。
「カゼ、ひーたんだと思う…かぜ薬のんで寝れば、なおるよ」
くびをかしげる、ダンナさん。
「おまえ…ホント、わかってねーのか?」
「なにを?」
こんどは、うなだれた。
「いーから、とりあえずあした、病院、な」
◇
なにがかなしくて、クリスマスイブって日に病院なんだか。
しかも…きのう祝日だったから、すっごい混みかた!
2時間待って、ようやく終わった。
でも、…。
待合いのソファーに、きもち速め。
彷徨が、こたえ、目で急かす。
「で?」
「…うん」
カオ、ゆるんだ。
「そうか」
おんなじように。
「どれぐらい?」
「3ヶ月に入ったトコだって」
「んじゃ、いつだ?」
「いちおう、8月4日って」
「ふうん…」
彷徨はすくっと、たちあがった。
「ありがとな」
「…なにが?」
「1日早いけど、最高のプレゼントだ」
くすっ。
「なにがおかしーんだよ」
「だって」
「んだよ」
ひじ、とった。
「ケーキ、買いにいこーよ」
「ん」
「おっきーの、買ってよ?」
「毎年でかいじゃん」
「ことしは、とびきりなのっ」
「あっおまえ、ふたりぶんとかって倍の量、食うつもりだなっ」
「へっへ〜っ」
「産んでから体重、もどせるんなら買ってやる」
「うっ…もどすもんっ、意地でももどすもんっ」
「よ〜し…」
その日はけっきょく、西遠寺には1日じゅう笑顔がたえなかった。
2005年冬企画に取り急ぎ参加ってことで…ヤマもオチもなんにもありませんが書き起こしたものです(苦笑)
このときのテーマ「甘党さん」はでっかいケーキでお茶をにごしてます(汗)
あと…一部実話で失礼してます(^^; 体重戻せるかどうかすごく心配(大汗)
12月25日。
彷徨の誕生日は、わたしの亡母の誕生日でもあります。
彼女もきっとよろこんでくれてるんだろうと思う…んだけど、できれば入院とかしないですむようにチカラ貸してほしいんだけどなぁっ(汗)