作:山稜
だぁ!といえば、欠かせないのはルゥくんとワンニャー。
しかしその出身地、オット星の事情については、「だぁ!だぁ!だぁ!」(以下、だぁ)では「地球から150億光年離れた星」というぐらいの情報しかありませんでした。しかし「新☆だぁ!だぁ!だぁ!」(以下、新だぁ)の連載により、いくつか興味深い点が明らかになってきています。シリーズ完結を記念して、オット星について考察を加えてみたいと思います。
未夢と彷徨の娘、未宇が時空のひずみに巻き込まれ、オット星に飛ばされる…この事件から「新だぁ」は始まるわけですが、はたしてこれは「だぁ」から何年先のことなのでしょうか。
第2話で、未宇は自分のことを「12歳」と紹介しています。仮に未夢と彷徨が中2で…という計算はできなくはないですが、「なかよし」連載でそれは考えたくありません(笑)
彷徨が大学卒業後すぐ未夢と結婚し、すぐに未夢が妊娠、出産したとして、この時点で未夢と彷徨は23歳。その娘が12歳になるわけですから、「新だぁ」開始時点で、未夢と彷徨は35歳です。「だぁ」では13歳でしたから、22年経過していることになります。
ということは、「だぁ」で5〜6ヶ月の赤ちゃんだったルゥも、すでに22〜23歳になっていることになります。が、「新だぁ」でのルゥは見かけ上、未宇と同い年ぐらいにしか見えません。ルゥと幼なじみだと言うランも同様です。オット星人(人間タイプ)はみんな童顔で12歳程度にしか成長しない、という考え方もありますが、ルゥの両親を見るとそうでもなさそうです。では、どういうことでしょうか。
「だぁ」で、ルゥが地球で過ごした期間、すなわち「だぁ」の話の期間ですが、最低でも半年間はあることは確実です(これについてはまた別コラムを設ける予定)。つまりルゥは、西遠寺に飛ばされてきたときに5〜6ヶ月でも、帰っていくときには11ヶ月〜1歳程度になっているはずです。しかしこの間、ルゥは「身長58cm、体重5200g」から全く成長していません。それでも、ミニUFOの健康診断装置は「健康優良児」と表示しています(8巻、38話)。ということは、この時点で「全く成長していない」ことが、人間型オット星人の標準的な状態だということになります。つまり、地球人に比べてオット星人(人間タイプ)は、かなり成長が遅い、というわけです。
(実は、5〜6ヶ月で身長60cm前後・体重5kg前後という時点でも、すでに地球人から比べると成長が遅いです。この体格だと、だいたい3ヶ月〜4ヶ月程度の赤ちゃんでしょうか?)
そんなことから、オット星人・人間タイプの成長は、地球人の約2倍の時間がかかると言えるでしょう。ということは、おそらく平均寿命は150〜160歳。あるいはもっと長いかもしれません。
成長に2倍の時間がかかるとすると、22〜23歳であるルゥやランが、12歳である未宇と見かけ上変わらないのも納得できます。彼らにしてみれば、地球人はなんと成長が早いんだと思っているでしょうね。
体の成長が遅い反面、知能は非常に高いようです。「だぁ」でのルゥは、5〜6ヶ月の赤ちゃんにしては、高度な判断力を持っています。外では超能力を使っちゃダメ、といわれたら使っていませんが、「〜したらダメ」を理解できるようになるには、地球人だと1歳半〜2歳ぐらいまでかかります。クレヨンやサインペンのようなもので落書きして遊んでいる場面もありますが、このあたりになると3歳児ぐらいの知能が必要でしょう。
一介の学生がワープや時空のひずみについて学んだり(新だぁ1話)、あるいはUFOコンテストというものが開かれてたり(新だぁ2話)と、宇宙航行は一般人にとっても日常的なものとなっている、というような文明の発達は、この高い知能に裏付けられた発展なのかもしれません。
こと、この宇宙航行技術に関しては目を見張るものがあります。ルゥとワンニャーが西遠寺にやってきてから帰るまでは前述のとおり半年程度。星矢が救難信号を発して、すぐ救助隊が出発したとしても、150億光年を半年間でたどり着くということは、救助船のスピードは光の300億倍ということになります。
余談ですが、アメリカの有名な某SFテレビドラマの1シリーズで(商標権などがうるさいので書きませんが ^^;)、24世紀の地球の宇宙戦艦が銀河の反対側に飛ばされてしまうのがありました。銀河系の直径はおよそ10万光年ですが、これを帰ってくるのに70年ほどかかる、という設定です。これでも光の速さの1400倍ぐらいのスピードは出ていますが、桁が全く違います。
また新だぁでは、ルゥは飛ばされてきた未宇を1年間の研修期間中に帰してくる、と言っています。片道では半年でたどり着かないといけませんから、20年程前の救助船とスピードとして同等なものが、民間で利用されるようになったようですね。
ただ、オット星の宇宙警備局担当のアンドロイドが「<i>残念ですが 時空のひずみによって 漂流されたかたを 地球まで帰すことは できません</i>」「<i>地球まで航行可能な 高性能宇宙船は ではらっています 危険区域が おおいため 民間船では無理でしょう</i>」(新だぁ1話)と言っています。おそらく救助船を管轄しているのも宇宙警備局なんでしょうが、そこが「民間では無理でしょう」と言っているのにも関わらず強行してしまうあたりは、ルゥくんには自分の研究成果に相当な自信があった…言い換えれば、かなり優秀な学生なのかもしれません。UFO自体はワンニャーが作ったようですが、その設計にはルゥがかなり口出ししていることでしょう。
オット星人には、人間タイプ・非人間タイプ・周辺の星からきた移住者・各種アンドロイドがいます(新だぁ2話)。
ワンニャーは「シッターペット」と呼ばれる、オット星人の非人間タイプの一種です。なぜかコミックスの登場人物紹介に「ベビーシッターロボット」と書かれていることがありますが、生物です(笑)
しかも、この「シッターペット」という種族は、UFOを作ってしまえるぐらい高い知能を持っています。ならば、オット星人・人間タイプと同等の扱いを受けてしかるべきなのに、なぜか人間タイプの赤ん坊の世話をわざわざしているのです。これはなぜでしょうか。
考え付きやすいのが、過去の争い等の結果、種族間で隷属関係ができてしまったというパターンです。
しかし、単に身の回りの世話をさせるのであれば、アン-F90のようなお手伝いアンドロイドが普及しています。また、周辺の星からきた移住者の中には不穏な動きをする輩もいるようですから、これがシッターペット族を扇動して反乱を起こさないとも限りません。
このようなことから、食事が必要など手間のかかる上、いつ反乱するかわからない多種族を、わざわざ隷属させているとは考えにくいと言えます。
では単に、シッターペットという種族がつくことのできる職業が、ベビーシッターだけなのでしょうか。
しかしこれも、知能の面で否定されます。また体格など身体能力においても、シッターペット族が変身できることを考えると否定されます。
他のこともできるのに、わざわざ人間タイプのベビーシッターとして、子供の世話をし、その子供を主人のように扱っている…主人のように扱わなければいけない切実な問題がある、とすれば、<b>シッターペットは人間タイプの赤ちゃんから何らかの見返りをもらっている</b>ということが考えられます。
オット星人・人間タイプの赤ちゃんは、みんな超能力が使えます。成長するとなくなってしまいますが、いろんな能力があります。電撃などのエネルギー放射もありますが、そのごく弱いものが、栄養素のようにシッターペットの体には必要なのではないでしょうか。人間タイプの赤ちゃんとシッターペットとは、一方ではエネルギーを与え、もう一方が世話をするという<b>共生関係</b>にあると言えるでしょう。
―たぶん続く(^^;―